もう、7〜8年まえになりましたが、私が「あさおPCクラブ」に入会させていただく時のことです。はじめて、「パソコンボランティア入門講座」に参加し、T・Hさんや視覚に障害を持つT・Mさんたちから、マウスを使わないパソコンの操作方法を教わりました。そこに居合わせたサポーター志願者たちは試行錯誤を繰り返しました。
まず、パソコンに音声の出るソフトをインストール、視覚障害者はその音声を頼りにパソコンを操作します。マウスの代わりはキーボードです。「Tabキー」と「矢印キー」で選択が出来ます。もう一つ、「ショートカットキー」を覚えます。例えば、「Alt」と「F4」で、画面を終了することが出来ます。「Ctrl」と「Esc」でスタートが立ち上がります。「ショートカットキー」は、いちどに覚えられないので、そのつど覚えます。
幸い、あさおPCクラブのサポーターの中には、パソコンの専門家がたくさんいます。分からないことは、おまかせください。一緒に考えてくれます。
又、視覚障害者の中にもベテランがたくさんいます。サポーターがサポートしてもらうこともありす。
現在、この会は受講生が約10名とサポーターが10名ほどで活動しています。視覚障害者の情報交換の場にもなっています。
今や、パソコンの発展はめざましく、ついてゆけない私は、まさに「役立たずのサポーター」です。でも、皆さん、やさしく迎えてくださいます。
私に出来ることは、目の代わりをすることと、触れ合いを大切にすることだと思っています。一人でも多くの視覚障害者が、パソコンの便利さを体得し、未知の世界を体験してくだされば、うれしいです。又、一緒に勉強してくださるサポーターも大歓迎です。
徐々に見えなくなる不安の中で、パソコンとの出会いは私にとって、暗闇の遥か向こうにかすかな灯りを見つけられた思いでした。
「見えない者にとって、パソコンは、強い味方になる」という、盲人先輩のアドバイスを受け、パソコンを買ったのはいいけれど、当時は、教えて頂ける教室も無く、私の周りにパソコンを持っている人もいなくてわずかに見える視力を頼りに説明書を読みながらセットして、やっと画面が立ち上がった時のあのうれしさは今でも忘れられません。
でも、私にとって、パソコンは「夢の箱」ではありましたが、呪文を唱えれば夢がかなうという「魔法の箱」ではありませんでした。
「パソコンを買ってはみたが、みてるだけ」という、サラリーマン川柳と同じ状態が続いていいた、そんなある日、麻生で見えない人へパソコンを教えてくれるグループが出来ると耳にしました。
越境でしたが、思い切ってお願いして、仲間に加えて頂ました。
それからの、月1回の「パソコン教室」通いは待ちどおしく、楽しい日々でした。
文字どうり「手取り足取り」で、親身になって指導していただいた,Tさんのおかげで私にも「夢の箱」の中を、覗いて見る事ができるようになりました。
あれから10年、あっという間でした。
あれもしたい、これもしたい、こんな事できるのかしら、できたらいいな…
ドラエモンの歌ではありませんが、夢は膨らんでゆきました。
そんな夢を、パソコンボランティアの皆さんに支えていただきながら、一つ一つかなえて頂いています。
全盲になってしまった今、私にとって、パソコンは、無くてはならない物となっています。
オーバーに言えば、最後のハードルを、大きく落ち込むことなく越えてこられたのも、このパソコンとそれを取り巻く人達の暖かな支えがあったからだと思い、皆様に感謝しています。
見えないから・歳だから・機械は苦手だから、と躊躇している方、一度、「あさおパソコン教室」をのぞいてみませんか?
そして、私たちと一緒に夢をかなえてみませんか?